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16個のメインレッスンへはトップページの目次からジャンプすることができます。
各レッスンページには、メインレッスンと同じトピックでより深い内容を扱う追加レッスンへのリンクがあります。もっとも、このチュートリアルはこれらの追加レッスンを読まずとも問題なく最後までいくことができるようになっています。
メインレッスンの後ろには、いくつか各言語の独自レッスン(例えば、日本語版であれば日本語組版に特化したレッスン)があります。そして、一番最後にこのチュートリアルで扱うことのできなかった様々なLaTeXパッケージの使用例を示す特別なレッスンが用意されています。
コード例
コード例の実行方法
各コード例は、小さいながらも完全なLaTeX文書になっていて、次のような見た目をしています:
\documentclass[dvipdfmx]{jlreq}\begin{document}これはサンプル文書です。\end{document}
各コード例は、そのままでも処理することのできる完全なLaTeX文書になっています。しかし、例えば各レッスンの末尾にある練習問題を解くために、コード例を少し編集したいと思うことがあるかもしれません。そのような場合のために、コード例はACEエディタによって編集できるようになっています。
ACEエディタのテーマは設定ページでカスタマイズできます(例えばダークテーマを使用すると、暗い背景に明るいテキストが表示されるようになります)。サイト内のコード例の中で、キーボードショートカットCtrl+,(Macでは⌘+,)を使用するとACEエディタ設定を変更するためのパネルが現れるので、簡単にさまざまなテーマを試すことができます。
ACEのリポジトリには多くの便利なキーボードショートカットを紹介するページがあります。
コード例を実行する3つの方法
- Overleafを利用する
- TeXLive.netを利用する
- 手許のPCにインストールしたTeXシステムを使用する
Overleafを利用する
Overleafは世界的に最も人気のあるオンラインLaTeXサービスの1つです。各コード例の下にあるを押すと、そのコードがOverleafに送られます。
もしあなたがOverleafのアカウントを持っていなかったり、ログイン情報がブラウザにキャッシュされていなかったりする場合は、Overleafのログインページにリダイレクトされます。そのページでログインや新規のアカウント登録を行うことができます。Overleafは無料サービスですが、いくつかユーザ登録に必要な情報を入力したり、利用規約に同意したりする必要があります。
既にOverleafアカウントの情報がブラウザにキャッシュされている場合は、Overleafで新しいタブが開かれて新しいプロジェクト内に送信したコードが保存された状態になります。よってOverleaf上でコードを編集し、同時にそのコードを実際にLaTeXで処理した出力やエラーログを閲覧することができるようになります。
なお、Overleafはデフォルト設定は和文文書の処理(pLaTeX)に対応していないため、和文のコード例を試すには少し設定が必要です1。まず、左上の「Menu」をクリックして「Compiler」をデフォルトの「pdfLaTeX」から「LaTeX」に変更します。次に、「Menu」直下の書類アイコン(New file)をクリックしてlatexmkrc
という名前のファイルを作成し、次の内容を書き込みます。
$latex = 'platex';
$bibtex = 'pbibtex';
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
これで、OverleafでもpLaTeXを用いて和文文書が処理できるようになります。
次に説明するTeXLive.netで処理した文書とは異なり、Overleafではプロジェクトをあなたのアカウントに紐付けて保存することができ、後から再度開くことが可能です。
TeXLive.netを利用する
同じく各コード例の下のボタンを押すと、そのコードはLaTeX CGIサービス2に送信されます。
このLaTeX CGIサービスはこのチュートリアルを支援するために開発されたもので、PDF.jsを利用することで専用のPDFビューアがなくてもモバイルを含むブラウザ上でそのままPDFを表示できるという特徴があります。
PDF出力(あるいはエラーログの抜粋)がコード例の直下に表示されます。こうした出力はボタンを押すことで消し去ることができます(もちろん出力を消さずに放置して先へ進むことも可能です)。
TeXLive.netの利用にはログインもユーザ登録も一切必要ありません。そのため小さなコード例の実行には大変便利ですが、このサイトにはコードを保存する機能は備わっていないので注意してください。コード例に対して行ったすべての変更はページを離れた時点で失われてしまいます。
手許のPCにインストールしたTeXシステムを使用する
もし手許のPCにTeXシステムがインストールされているようであれば、もちろんコード例をページからコピーして使用することができます(明示的に範囲選択をしてもいいですし、エディタのキーボードショートカットで全選択する(WindowsではCtrl+A Ctrl+Cとします)のでも構いません)。それによってコード例はあなたのOSのクリップボードにコピーされるので、新しいドキュメントを適当なエディタで作成し、その内容をペーストすることができます。
トラブルシューティング
このチュートリアルのコード例はいずれも最新のLaTeXを前提として作られています。すべてのコード例は、私たちが利用している2つのオンラインサービス(OverleafとTeXLive.net)で動作することが確認されています。そのため、もしローカルなTeXシステムでチュートリアルのコード例が動かないという場合は、TeXシステムが最新のものになっているかどうか確認してください。
TeXエンジンを選択する
コード例を送信した際、デフォルトではplatex
エンジンが使用されます(日本語版以外では原則pdflatex
)。
しかし、明示的にlatex
, pdflatex
, xelatex
, lualatex
, platex
, uplatex
のうちどれを使用するかを指定することも可能です。これには次のような書式を使用します:
% !TEX
〈任意のテキスト〉 lualatex
この書式において、最初の空白は省略することができるほか、大文字・小文字の違いは無視されます。最初と最後のみが重要で〈任意テキスト〉の部分も無視されます。
このしくみにより% !TEX program=pdflatex
といういくつかのTeXエディタでサポートされている記法が許容されるようになっています。ただしprogram=
の部分は、現状ではオンラインシステムで利用可能なエンジンのうちの1つを選択するのにしか利用されないため省略可能になっています。
なおplatex
やuplatex
が選択された場合にはdevipdfmx
コマンドが自動的に呼び出され、これらのエンジンが出力するDVIファイルはPDFに変換されるようになっています。同様にlatex
が選択されている場合にはdvips
とps2pdf
が使用されます。
出力の表示方法を選択する
TeXLive.netを使用した場合、コード例を実行したことによるPDF出力はデフォルトでPDF.jsにより表示されます。これにより、さまざまな種類のブラウザで同じ挙動を得ることができます。
もしブラウザのデフォルトPDFリーダ(ブラウザ内蔵のものでも、設定した外部アプリケーションでも)を使用したいという場合には、次のコメント記法を用います:
% !TEX
〈任意のテキスト〉 pdf
デフォルトの挙動は、末尾の値をpdfjs
とすることで明示的に指定することもできます。デバッグ目的ではエラーなしにPDFが得られる場合でもログファイルの内容を見たいという場合があるかもしれません。そのような場合は末尾の値をlog
としてください。
% !TeX
形式のコメントを使わずに、サイト設定ページを利用してデフォルトの挙動を変更することもできます。サイト設定はブラウザごとに指定できます。そのためモバイル端末ではデフォルトのpdfjs
を設定しながら、PCではpdf
を指定してデスクトップブラウザのデフォルトPDFレンダラを利用するというようなことも可能です。
HTML出力(make4ht、LaTeXML、lwarp)
本セクションで説明されるHTML出力は、原則として和文をサポートしていません。HTML出力を試みる場合は英文のコード例で試すことをおすすめします。本チュートリアルの翻訳チームは、和文のHTML出力について動作確認を実施していません。
TeXLive.netを利用する場合は、追加の表示方法オプションとしてmake4ht
、LaTeXML
、lwarp
がサポートされています。これらを利用すると1つ以上のHTMLページをサイトのフレーム内に表示します。これらのHTML出力の指定はxelatex
、lualatex
、pdflatex
などのエンジン指定と両立します。
HTML出力を指定するには、例えば次のようなコメントを記入します:
% !TeX make4ht
別のシステムを利用する場合はmake4ht
をLaTeXML
やlwarp
に置き換えてください。
これらのHTML出力をサイト設定からデフォルトの挙動にすることも可能です。
ローカルのTeXシステムを利用している場合は、次のコマンドを実行するとmake4ht
オプションで表示されるものと同じ出力を得ることができます。
make4ht document.tex "learnlatex4ht,2,mathml,mathjax,svg"
XeLaTeXやLuaLaTeXを使用している場合はそれぞれ-x
または-l
オプションを追加してください。
ローカルで実行する場合は、ほかにもさまざまな設定が利用可能です。詳細はmake4htのマニュアルを参照してください。
LaTeXMLをローカルで実行するためには、別途LaTeXMLをインストールする必要があります(TeX LiveやMiKTeXには含まれていません)。その上で、次のコマンドを実行します。
latexml document.tex > document.xml
latexmlpost --format=html5 \
--javascript='https://cdn.jsdelivr.net/npm/mathjax@3/es5/tex-mml-chtml.js' \
--destination=document.html" document.tex
LaTeXMLについてもさまざまな設定が利用可能です。詳細はLaTeXMLのマニュアルを参照してください。
lwarpの設定方法は、今のところ実験的なもので将来的に変更される可能性が高いため、ここでは説明しません。最新バージョンの情報は ソースリポジトリで確認できます。
このチュートリアルの開発段階ではLaTeX.OnlineやLaTeX-on-HTTPも使用されていました。本チュートリアル企画の初期段階から協力的に開発に取り組んでくれた、これらのサービスの開発者に感謝いたします。 ↩